• 法律
  • Vol.31

フリーランス適正化法の概要

令和6年11月より、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(「フリーランス・事業者間取引適正化等法」)が施行されます。近年フリーランスの働き方が普及する一方、報酬の不払いや取引先からのハラスメント等が問題視されていました。そこで、フリーランスの取引の適正化と就業環境の整備を図るため、本法が制定されました。概要は、次のとおりです。

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1. 対象

この法律は、個人として業務委託を受ける特定受託事業者(フリーランス)と、業務委託をする業務委託事業者(発注事業者。従業員を使用する「特定業務委託事業者」が主な対象となる)との間の業務委託に係る取引に適用されます。消費者との取引や、業務委託以外の取引には適用はありません。

2. 取引の適正化

①書面の交付

特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、給付の内容、報酬の額等を書面や電子メール等で明示することが定められました。この規定は、従業員を使用していない業務委託事業者に対しても適用されます。

②報酬支払期日

発注した給付を受領した日から60日以内(ただし、再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)の報酬支払期日を設定し、支払わなければならないことが定められました。

③遵守事項

1カ月以上の継続的な業務委託に関し、特定受託事業者の責めに帰すべき事由や正当な理由がないのに、(1)受領拒否、(2)報酬の減額、(3)返品、(4)著しく低い報酬の設定、(5)物品購入・役務利用の強制を行うことが禁止されました。

また、経済上の利益の提供を要請したり、不当に給付内容の変更・やり直しを命じたりして、特定受託事業者の利益を不当に害することも禁止されました。

3. 就業環境の整備

特定業務委託事業者に対して次の義務が定められました。

①広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保つこと
②特定受託事業者が育児や介護等と両立して業務が行えるよう、必要な配慮をすること
③ハラスメント行為に係る相談対応等、必要な体制整備等の措置を講じること
④継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに予告すること

4. 違反があった場合の対応

公正取引委員会等は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について指導や立入検査、命令等をすることができます。命令違反及び検査拒否等については50万円以下の罰金に処される可能性があります。

5. 相談対応等の取組

国は、特定受託事業者の取引の適正化及び就業環境の整備のために、相談対応などの必要な体制の整備等をすることとされています。

6. まとめ

今後、フリーランスに業務委託をする事業者は、上記の内容に十分に留意し、違反とならないよう、契約内容等を定める必要があります。

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