• 法律
  • Vol.29

民法の保証債務の規定の改正について

令和2年4月、改正民法が施行され、保証債務に関する規定の改正がなされました。今回は民法における保証債務の規定の主要な改正点について解説いたします。

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1. 極度額の定めのない個人の根保証契約の無効(465条の2)

個人が保証人となる根保証契約については、極度額を定めなければ無効となることが定められました。民法446条により、極度額は書面により明確に定められる必要があります。

2. 事業用融資の保証人の場合の公正証書による保証意思の確認(465条の6)

個人が事業用の融資の保証人になろうとする場合には、公正証書において保証意思の確認を経なければ保証契約が無効となることが定められました。保証人になろうとする者が個人である場合には、保証契約締結日の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を示している必要があります。

なお、本規定はいわゆる経営者保証(会社の役員等が当該会社の保証人となる場合)やこれに準ずる場合(支配株主、共同経営者、事業に従事している配偶者等)については適用されません。

3. 保証人に対する情報提供義務

(1)主債務者の情報提供義務(465条の10)

事業のために負担する債務について保証人になることを個人に依頼する場合、主債務者は、保証人に①主債務者の財産や収支の状況、②主債務以外の債務の金額や履行状況、③主債務の担保として他に提供し、又はしようとしているものの内容に関する情報を提供しなければならないことが定められました。情報を提供しなかったり、誤った情報を提供したりしたために保証人が誤認をし、そのことを債権者が知ることができた時には、保証人は保証契約を取り消すことができます。

(2)債権者の情報提供義務(458条の2、458条の3)

債権者の義務として、個人保証・法人保証に関係なく、委託を受けた保証人から請求があった場合には、債権者は、主債務の履行状況に関する事項(不履行の有無、残額、弁済期が到来している金額等)に関する情報を提供しなければならないことが定められました。
また、個人保証において主債務者が期限の利益を喪失した場合、債権者は2か月以内に保証人に通知しなければならないこととなりました。

4. まとめ

保証債務に関しては、保証人の保護、特に個人保証の負担を軽減する方向で指針やガイドライン等の改正も進んでおり、今後もその傾向が続くと思われます。

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