- 登記
- Vol.31
代表取締役等住所非表示措置について
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1. 代表取締役等住所非表示措置とは
商業登記において株式会社の代表権を有する代表取締役等については、登記簿に氏名のみならず住所も記載されていることはご存知かと思います。代表取締役等住所非表示措置は、一定の要件を充たす場合に、株式会社の代表取締役等の「住所の一部」を登記事項証明書等で表示しないこととする措置をいいます。この制度は、商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号)によって創設され、令和6年10月1日から施行されました。
2. 手続について
代表取締役等住所非表示措置の申出は、代表取締役等の就任・再任といった役員変更登記、会社設立登記等の「代表取締役等の住所が登記事項となっている登記」を申請するときに限りすることができます。具体的には、登記申請書に代表取締役等住所非表示措置を希望する旨、非表示措置をしたい代表取締役等の資格、氏名及び住所を記載して申請することとなります。
また、添付書類として以下の書類が必要となります。
1. 上場会社の場合
上場されていることを証する書面(たとえば、株式会社の上場に係る情報が掲載された金融商品取引所のホームページのコピー等)を添付する必要があります。ただし、商号、設立年月日、代表取締役の氏名が記載されている必要があります。
2. 上場会社以外の会社の場合
①株式会社が受取人として記載された配達証明書及び郵便物受領証(商号及び本店所在場所が記載されたもの)
②代表取締役等の住民票の写しや印鑑証明書
③会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面(A司法書士等の資格者代理人が作成した「実質的支配者の本人特定事項に関する記録の写し」、B実質的支配者の本人特定事項についての供述を記載した書面で公証人の認証をうけたもの、C定款認証の際に申告した実質的支配者の申告受理証明書(ただし、登記の申請が当該株式会社の設立の日の属する年度又はその翌年度に行われる場合に限る))。
なお、③については、Aの書類によることが多くなると思われます。
3. 登記事項の表示について
代表取締役等住所非表示措置がなされた場合、登記事項証明書には、代表取締役等の住所が「最小行政区画まで」しか表示されないこととなります。具体的には、「東京都千代田区丸の内〇丁目〇番〇号」という住所の場合、表示は「東京都千代田区」までとなります。
なお、実際に代表取締役等住所非表示措置がなされた場合の登記事項証明書を見てみないとわかりませんが、非表示の対象となる住所は、申出と同時に申請した登記によって記録した住所に限られるようです。従来から登記されている住所については非表示にはならないので、注意が必要です。
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