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  • Vol.30

相続人不存在について

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1. 相続人不存在とは

民法では、亡くなった人の相続に関して、相続人を定めています(民法900条)。第一順位は子及び配偶者、第二順位は父母(亡くなっている場合にはご健在の祖父母)及び配偶者、第三順位は配偶者及び兄弟姉妹と定められています。少子化が進んだ現在、亡くなった方に上記の全ての方が存在しない場合があり、これが相続人不存在と呼ばれています。また、相続放棄がなされた場合にも、放棄をした人ははじめから相続人でなかったことになるため、相続放棄等により相続人がいなくなれば、同様に相続人不存在となります。

2. 相続人不存在の場合の手続き

(1)相続財産清算人の選任

相続人不存在の場合には、誰かが財産を管理する必要があるため、相続財産清算人を選任して、相続財産を管理する必要があります。相続財産清算人の選任は、利害関係者(例えば、亡くなった方の療養看護に努めた親族、債権者等)や検察官が家庭裁判所に申し立てる方法により行われます。

家庭裁判所には、相続人不存在を証明するための戸籍謄本や相続放棄申述受理証明書、申立人の利害関係がわかる書類(戸籍謄本、金銭消費貸借契約書等)、相続財産の資料などを添付して、申立書を提出する方法により手続きが行われます。相続財産清算人には報酬を支払う必要があるため、相続財産が少ない場合には、申立人が予納金を納めて、その報酬に充てる場合があり、100万円前後の予納金が必要になる場合があります。

(2)官報公告

相続財産清算人の選任がなされた場合、その内容は官報で公告され、その際に、相続人がいるならば申し出てほしい旨の公告もあわせてなされます。
また、債権者や受遺者の確認についても官報で公告され、債権者や受遺者が見つかれば、相続財産から支払いがなされます。
官報公告は6カ月以上の期間を定めて行われ、その期間内に相続人が出てこなければ相続人不存在が確定します。

(3)特別縁故者への財産分与

相続人不存在の場合に、特別縁故者に相続財産が分与される場合があります。特別縁故者とは、被相続人と生計をともにしていた方(内縁関係等)、被相続人の療養看護に努めた人など特別な縁故があった方をいいます。
特別縁故者へ相続財産が分与された後に、余った残りの相続財産については、国庫に帰属することとなります。

3. まとめ

上述したように、相続人不存在の場合、手続きが終了するまでに時間がかかりますし、相続財産次第では多額の予納金を納める必要があります。また、相続財産を勝手に処分してはいけないので注意が必要です。

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