- 登記
- Vol.27
株式会社の増資による変更登記
関連法人:NTS総合司法書士法人
1. 増資とは
株式会社における「増資」とは、一般的には、会社が新しく株式を発行して(募集株式の発行)その株式の対価として出資を受け、資本金を増加させる手続きのことを指します。増資の登記についてはよく依頼をうけますが、その理由は第三者からの資金調達のため、金融機関から資本金の増額を求められたためなど、さまざまです。
募集株式の増資の方法としては
①既存の株主に対して持ち株比率に応じて株式を発行する「株主割当」
②株主に限定せず第三者に対して株式を発行する「第三者割当」
の2通りがあります。当方で受任する案件は、ほぼ100%「2第三者割当」の方法です。
2. 増資の手続きについて
増資の手続きについては、公開会社と非公開会社(株式の譲渡制限の定めのある会社)で違いますが、日本の株式会社の99%以上は非公開会社と言われているため、ここでは「非公開会社」を前提に説明いたします。
まず、増資をするにあたり、株主総会において、
①募集する株式の数
②その株式の払込価額(1株引き受けるのにいくら入金するか)
③払込期間(何日から何日までに出資する)、または払込期日(何日に出資する)
④出資により増加する資本金及び資本準備金の額をいくらにするか
などを決定する必要があります。
代表取締役主導で増資を進めている案件を多々見かけますが、通常は、株主総会で募集事項を決定する必要があります。なお、募集株式数の上限や払込金額の下限を株主総会で決定して、そのほかの事項を取締役会に委任することもできます。
次に、出資予定者に上記募集事項や払込先を通知し、募集株式の引き受けの申し込みを行います。
出資予定者から申し込みが届いたら、株主総会等で、どの出資予定者にどれくらいの株式を割り当てるかを決定します。その割当決定に応じて、払込期日までに(もしくは払込期間内に)出資予定者が出資金を払い込みます。この払込により、増資の効力が発生となります。
上記は、引き受けの申込及び株式の割当てという基本的な手続きですが、「株式総数引受契約」を会社と出資予定者との間で締結する方法もあります。株式総数引受契約とは、事前に募集事項を決定しておき、出資予定者との契約により全募集株式をその出資者に割り当てるという契約です。
3. 増資の登記
「増資の登記」は、前述した手続きが行われた場合に、発行株式数や資本金の額に変更がある場合にその変更登記をするものです。添付書類としては、
①募集事項を決定する株主総会議事録(取締役会が設置されている会社では取締役会議事録が必要な場合もあります)
②資予定者からの引受の申し込みを証する書類
③出資期の払込があったことを証する書類(会社の通帳コピーなど)
のほか、場合によっては株式総数引受契約書、資本金がいくら計上されたかを証明する書類、株主リストなど、さまざまな書類の提出を求められることがあります。
大幅に簡略して記載しましたが、増資の手続きはいくつもの手順が必要となるため、意外と複雑です。そのため、増資については専門家に相談することをおすすめいたします。
すべての皆様との双方向の「ありがとう」に向けて
あらゆる相談にワンストップで対応
法律、税務・会計、労務など、分野の垣根を越えた幅広いニーズに対応し、企業や個人を取り巻くあらゆる問題についてワンストップで対応したいと考えております。