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  • Vol.25

合同会社から株式会社への組織変更

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1. 会社の組織変更とは

組織変更とは、会社法に規定されている企業組織再編手続の一つで、合名、合資、合同会社を株式会社に変更したり、それとは逆に株式会社を合名、合資、合同会社に変更する手続をいいます(会社法第2条第26号)。

最近、合同会社形態で会社を設立したものの、会社の企業規模が拡大したり、融資を受けた金融機関からの要請などさまざまな理由から、株式会社に組織変更する事案が多々あります。そこで今回は、合同会社から株式会社への組織変更手続について説明します。

2. 手続の流れ

合同会社から株式会社へ組織変更をする場合、以下の流れとなります。
①組織変更計画を作成する
②債権者保護手続(官報公告及び各債権者への異議催告)
③組織変更計画について総社員の同意を得る
④組織変更の効力発生
⑤組織変更登記

前々回に説明した「吸収合併の手続」に似ていますが、吸収合併の場合には当時会社が複数存在するのに対し、組織変更の場合は、会社の同一性を保ちつつ他の種類の会社になり実質的に当時会社は一社のため、吸収合併よりも比較的シンプルな手続となっています。

3. 組織変更計画の作成

合同会社から株式会社に組織変更するには、株式会社になった後の会社の内容を決める必要があります。株式会社になった後の商号、本店所在地、事業目的などを定めるのですが、まったく別の内容の会社にすることも可能です。合同会社時代の商号との同一性は要求されません。また、組織変更後の株式会社の役員について、どのような構成にするかを計画します。さらに、合同会社には規定のない、株式に関する事項(発行可能株式総数、合同会社の社員が取得する株式の種類及び数に関する事項など)を定める必要があります。もちろん、組織変更の効力発生日も定める必要があります。

4. 債権者保護手続

債権者保護手続については、吸収合併の手続のときと同様に、官報に公告したり、把握している各債権者に個別に異議があるかを催告することが必要です。1カ月以上の異議催告期間を定める必要があるため、組織変更をするにはどうしても時間がかかります。

5. 総社員の同意

効力発生日の前日までに、組織変更計画について総社員の同意を得る必要があります(会社法第781条第1項)。

6. 登記

組織変更の効力発生日から2週間以内に、①組織変更による株式会社の設立登記と②合同会社の解散登記を、連件で申請する必要があります。会社の同一性はあるものの、登記簿としては、株式会社について新しい登記簿が作成され、合同会社の登記簿は閉鎖されます。

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