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  • Vol.26

令和4年消費者契約法改正の概要について

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1. はじめに

近年、消費者被害はますます増加しています。悪質事業者の手口も多様化しており、こうした被害に対応するため、令和4年に消費者契約法が改正され、取消権の拡大や霊感商法への対応、消費者にとって分かりにくい解約料や事業者の免責を定めた条項への対応、事業者の努力義務の拡充などが新たに盛り込まれました。

2. 取消権の追加

消費者契約法第4条では「消費者が契約を取消しできる場合」について定めていますが、令和4年の改正により、①事業者が勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘をした場合、②威迫する言動を交え、相談するための連絡を妨害した場合、③契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にした場合についても取消権を行使できることとなりました。また、霊感商法への対応として、④霊感等による知見として不安を煽り勧誘した場合に対する取消権も追加されました。霊感商法に関しては、取消権の行使期間について、追認をすることができるときから3年(通常1年)及び、契約締結時から10年(通常5年)と、通常よりも伸長されています。

3. 免責の範囲が不明確な条項の無効

事業者の免責を定めた条項についても明確にすることが求められ、免責の範囲が不明確な条項は無効となることが定められました。すなわち、「法令に反しない限り、1万円を上限として賠償します」といった条項は今後無効となり、「当社に軽過失がある場合には1万円を上限として賠償します」など、免責の範囲が明確になるような条項にする必要があります。

4. 事業者の努力義務の拡充

1)解約料の算定根拠の説明

解約時の損害賠償や違約金の定めが消費者にとって分かりにくいことも問題となっていましたが、損害賠償や違約金をあらかじめ定めている場合には、事業者は消費者の求めに応じて算定根拠の概要を説明する努力義務を負うことが定められ、損害賠償や違約金の金額が平均的な損害の額を超えると疑われる場合には、適格消費者団体より事業者に対し算定根拠の説明を要請することも可能となりました(ただし営業秘密を除く)。

2) その他の情報提供

また、消費者契約法上の解除権について消費者に必要な情報提供をすること、勧誘時に消費者の知識・経験のみならず年齢・心身の状態も総合的に考慮した情報提供をすること、定款約款の表示請求のために必要な情報提供をすること等に関し、事業者が努力義務を負うことも新たに定められました。

5. まとめ

消費者関連法においては事業者の規制強化の流れが進んでおり、特定商取引法、景品表示法等の改正も行われています。今後の動向も注視したいところです。

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