- 登記
- Vol.23
吸収合併について
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1. 吸収合併とは
「吸収合併」とは、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいいます。合併、会社分割、株式交換及び株式移転を総称して組織再編と呼ばれていますが、今回はもっともオーソドックスな「株式会社が他の株式会社を吸収合併する手続」について説明します。
2. 手続の流れ
吸収合併の手続ですが、大まかには、以下のような流れになります。
①吸収合併契約の締結
②契約締結後効力発生日までの個別手続(吸収合併契約に関する書類等の事前備置き、吸収合併契約の承認決議、株主への通知等及び株式買取請求、債権者保護手続等)
③吸収合併の効力発生
④吸収合併の登記、事後の書面等の備置き
このように、たくさんの手続を経る必要があるとともに、下記に記載する債権者保護手続で最低でも1カ月以上の期間を要することから、吸収合併をするには時間がかかります。
以下で主要な手続について説明させていただきます。
3. 吸収合併契約の締結
吸収合併契約では、合併当時会社の商号や住所、合併対価に関する事項(合併の対価として、消滅会社の株主に対し金銭や存続会社の株式を交付する等)、効力発生日等を決める必要があります。吸収合併契約の締結に関しては、合併時に法人税が課されない、いわゆる「適格合併」の要件に該当するか等の税理士等専門家の判断が不可欠です。
4. 吸収合併契約の承認決議
消滅会社及び存続会社は、効力発生日の前日までに、原則として、株主総会の特別決議による吸収合併契約の承認を受ける必要があります。その他さまざまな特則があり、株主総会の特殊決議が必要となったり、決議要件が緩和、もしくは決議自体が不要となる場合もあります。
5. 債権者保護手続
消滅会社の債権者は消滅会社に対し、存続会社の債権者は存続会社に対し、それぞれ吸収合併について異議を述べることができます。そのため、合併当時会社はそれぞれ債権者保護手続をする必要があります。
その手続は、原則として、1カ月以上の異議期間を定めて、所定の事項を官報に公告し、かつ、把握している各債権者に個別に催告する(定款の公告方法の定め方によっては例外があります)ことが必要です。債権者が異議を述べた場合には、その会社は、当該債権者に対し弁済し、もしくは相当な担保を提供したりします。
まとめ
以上のとおり、吸収合併手続きは複雑です。専門家の介入は必須だと思いますので、今のところは、債権者保護手続の関係で時間がかかることをご理解いただければ十分です。
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