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  • Vol.22

相続放棄について

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1. 空き家問題に伴う相続放棄の増加

最近、相続放棄の相談が増えてきております。というのも、市区町村が空き家対策の一環で、空き家の名義人の相続人に対し、老朽化した建物の撤去を求める通知をすることが増えてきていることが原因です。

そのような空き家は相続登記が未了の場合が多く、通知を突然受けた相続人としても、空き家の名義人がどこの誰なのか分からないということが多いです。そのため、通知を受けた相続人が、関わり合いたくないという考えもあり、相続放棄を希望されるようです。

2. 相続放棄とは

相続放棄については、民法第915条第1項本文において、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と規定しています。

相続期間が3ヵ月以内ということは皆様もよく耳にしていると思いますが、「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3カ月以内であることが重要です。相続開始から3カ月以内ではないのです。一般的には、「被相続人の死亡を知った時から」3カ月以内と言われています。

しかし、市役所からの通知を見て、「あなたは○○(名前の知らない人)の相続人です」とは書かれていても、被相続人の詳細が分からないことが多いです。そのため、形式的に通知がなされた時から3ヵ月以内というものでもなく、後日市役所に問い合わせをして自分が相続人であることが間違いないと認識したときや、債務調査をして債務超過であることが判明したときなど、要は「相続放棄を選択することが可能となった時」から3カ月以内ということになります。

また、仮に上記の3カ月以内を経過してしまっても、3カ月以内に相続放棄を申述することができなかった正当な理由を家庭裁判所に上申することで、相続放棄が許される場合もあります。

3. 相続放棄の手続

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、以下を提出することで開始されます。
①相続放棄の申述書
②自分が相続人であることを証明する書類(戸籍謄本等)
③相続開始を知ったことを証明する書類(市役所からの通知等)

家庭裁判所に書類を提出した後、家庭裁判所から相続人に照会書が届きます。照会書の内容は家庭裁判所ごとに若干フォーマットが異なりますが、おおむね相続放棄をした理由や、被相続人の財産を把握しているかなど、相続放棄の意思が真正なものかを確認する内容となっています。照会書を裁判所に返送することで、家庭裁判所で特に異論がなければ、相続放棄の申述が無事に受理され、相続放棄申述受理通知書が相続放棄を申し立てた相続人のもとに届き、手続きは完了となります。

相続放棄の申述は、上記のとおり相続開始を知ってから3カ月以内という時間制限があることから、円滑に手続を進めるためにも、当方のような専門家にお任せいただくことをおすすめします。

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