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  • Vol.20

「デジタル改革関連法」による、個人情報保護制度等の変更について

令和3年5月に参議院本会議で可決され成立した「デジタル改革関連法」には、個人情報保護制度の見直しが盛り込まれています。今回は、従来の個人情報保護制度からの変更点などをご紹介します。

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1. 従来の個人情報保護制度について

これまで日本では個人情報保護に関係する法律として
①「個人情報の保護に関する法律」
②「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」
③「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」
の3つの法律が存在していました。また、地方公共団体における個人情報の取扱いについては、各自治体が条例を制定しています。

このように複数の制度や所管機関が存在した結果、制度相互間の不均衡や不整合といった不都合が生じることとなりました。
この不都合を是正することをひとつの目的として「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が制定され、令和3年5月19日に公布されました。

2. 変更後の個人情報保護制度について

前記の法律による制度の変更後は、前記①~③の3つの法律が、1本の法律(個人情報の保護に関する法律)に統合されます。また、地方公共団体の個人情報保護制度についても、統合後の法律によって全国的な共通ルールが規定されることとなりました。そして、所管も、個人情報保護委員会に一元化されることとなりました。
これによって、個人情報の定義等を国・民間事業者・地方公共団体等で統一するとともに、データの利活用が促進されることが期待されています。

3. 医療分野・学術分野における規制の統一について

上記の制度変更によって大きな影響が生じるのが、医療分野・学術分野です。すなわち、これまでの法制度では、国立大学と私立大学との間、国立病院と民間病院との間で、個人情報を含むデータを利用した共同作業が継続的に行われてきたにもかかわらず、大きく異なる規律が適用されてきました。今回の改正では、たとえば国立大学と私立大学には原則として同じ規律が適用されることになります。

また、個人情報の取扱いに関しては、国際的な影響も無視することはできません。GDPR(EU一般データ保護規則)はEUが発行したルールですが、罰則は全世界に適用されるものであり、日本国内の学術研究機関による個人情報取扱いルールも、見直しが必要となりました。これまでは、学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合は、たとえば安全管理措置等の規定は適用除外とされていましたが、今回の制度変更によって、新たに適用対象となります。

4. 個人情報保護制度以外への影響について

なお、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」は、個人情報保護制度の変更だけを目的としたものではなく、マイナンバーカードの利便性向上や、押印・書面交付を求める手続きの見直し等、デジタル社会の形成に関する複数の施策を実施することを目的としています。

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