• 法律
  • Vol.18

市場区分の見直しと移行について

令和4年4月4日、東京証券取引所(JPX)の「市場第一部」「市場第二部」「マザーズ・JASDAQ(スタンダード/グロース)」の市場区分が、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの市場区分(新市場区分)に見直し、移行されることになりました。今回は、新市場区分の各市場のコンセプトについて、JPXが作成した「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について―第二次制度改正事項に関するご説明資料―」を基に、新市場区分についてご説明します。

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1. 新市場区分コンセプト

プライム市場

多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。

スタンダード市場

公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。

グロース市場

高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ、一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場。

2. 新市場区分への移行スケジュール

令和3年6月30日を移行基準日として、JPXから上場会社に対して、市場区分の選択に際し必要な手続や提出書類等が同年7月30日までに通知されます。なお、7月9日(予定)にJPXによる適合状況の一次判定がなされ、この判定で上場維持基準を充たしていなかった場合には、該当上場会社において追加報告を行い、適合状況の二次判定を受けるという流れになります。

その後、令和3年9月から12月にかけて、各上場会社において、新市場区分の上場維持基準と改訂コーポレートガバナンス・コード(改訂CGコード)を踏まえ、新市場区分の選択申請に係る手続を行います。
令和4年1月中に各上場会社が所属する新市場区分がJPXの公式ホームページにて公表され、令和4年4月4日に新市場区分へ一斉移行(移行日)となります。

3. 改訂CGコードと新市場区分

新市場区分の選択申請に係る提出書類のなかに、コーポレート・ガバナンスに関する報告書があります。この報告書は、改訂CGコードの内容を反映して作成する必要があります。
新市場区分に応じたコンプライ・オア・エクスプレインの対象範囲について、「プライム市場」及び「スタンダード市場」では全原則が、「グロース市場」では基本原則のみが対象となります。

改訂CGコードは、独立社外取締役の任用割合の増加、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用を求める等組織体制に関わる事項、サステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針の策定を求める等事業に関わる事項など16の原則について改訂が行われており、いずれも実務に与える影響が大きいものになっています。

以上、本稿では概要のご紹介となりますが、詳しくは、JPXの公式HP(https://www.jpx.co.jp/)をご覧ください。

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