• 登記
  • Vol.16

相続人が海外にいる場合の相続登記

相続手続に長く関与していると、案件の中には、①相続人が海外在住である場合、②相続人の国籍が日本以外である場合が出てきます。

純粋に日本国内に住所を有する日本人の相続登記をする場合には、戸籍をあつめて、「被相続人の相続人は誰なのか」を証明したうえで、遺産分割協議書に相続人が実印を押印して、その印鑑証明書を添付することがほとんどです。しかし、日本のように実印制度を採用している国は少ないですし、戸籍制度を採用している国も少数です。そのため、海外がからむ案件では、別の書類を用意する必要があります。

関連法人:NTS総合司法書士法

1. 相続人が海外在住である場合

相続人が海外に移住した場合、日本の住民票には海外の住所が記載されません。そのため、遺産分割協議をする場合、現在の住所の印鑑証明書を取得することができません。
この場合、印鑑証明書にかわって「署名証明書(サイン証明書)」を取得する方法がとられています。署名証明書は、現地の在外公館(大使館、領事館)に相続人が赴いて、領事の面前で、持参した書類(遺産分割協議書など)に署名をし、領事が署名したことを証明したものをいいます。印鑑のかわりに署名を照合することで、書類の真正を判断するものです。

また、相続人の住所を証明したい場合には、「在留証明書」を取得する必要があります。在留証明書に本籍が記載されれば、同一の本籍が記載された戸籍謄本により相続人であることが証明でき、在留証明書でその相続人が海外の住所であることを証明できることとなります。

2. 相続人の国籍が日本以外の場合

日本人と外国人の両親を持つ方など、相続人が外国籍となっている場合があります。その場合、日本の戸籍には、相続人の名前が記載されていないため、戸籍ではなく別の書類で相続人であることを証明する必要があります。

アメリカ国籍の方ならば、「出生証明書」に父母のデータや出産した日時場所などが詳細に記載されており、戸籍に劣らない内容です。これに加えて補強資料として、「宣誓供述書」を作成することが多いです。宣誓供述書とは、公証人の面前で宣誓した上で、住所や相続人であること等を陳述し、供述したことを公証人が証明する文書です。直接的な証明文書とは少し色合いが違うのですが、公的書類として、登記手続で添付書類として利用されています。

所属する国ごとに用意できる書類は異なるので、事案ごとにより専門的な判断が必要となります。

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