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  • Vol.14

新型コロナウイルス状況下における株主総会の開催について

この度の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、株主総会を開催することができないのでどうすればよいか、という相談をいただくことがよくあります。
株式会社においては、毎事業年度の終了後、一定の時期に定時株主総会を招集しなければならないのが原則です(会社法第296条第1項)。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の状況下であることから、この時期に定時株主総会を開催することはクラスター感染を引き起こす恐れがあります。

そこで、法務省がHP上に対応策を記載しています。抜粋すると、「定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも,今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りる」というものです。
ただし、新型コロナウイルス感染予防のためには、人が集まらないようにすることが最も効果的です。株主が集まらなくても株主総会を成立させることができるシステムを以下で挙げていきます。

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1. 書面投票制度

株主総会において、株主が書面で議決権の行使をすることが認められています(会社法第298条第1項第3号)。この場合、株主総会は実際に開催されますが、株主は出席せずに書面で議決権を行使します。株主が1,000人以上いる株式会社では、原則として書面投票制度を採用しなければならないとされています(同法第298条第2項)。

2. 書面決議

取締役または株主が、株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされます(同法第319条第1項)。この場合、株主総会はそもそも開催されません。ただし、株主全員の同意が必要となるため、反対株主がいる場合には書面決議によることはできません。

3. テレビ電話会議システム

テレビ電話会議システムを用いて株主総会を開催することも可能です。海外など遠方にいる株主でも株主総会に参加できるので、これからますます有用となる開催方法であると思います。ただし、会議体としての体裁を保つため、双方向で意見のやり取りができるようなシステムでなければならないので、株主の数が少ない会社でないとなかなかこのシステムを採用することは難しいでしょう。もっとも、現在Zoom飲み会が流行っているように、みんなが利用可能な便利なコンテンツが出てくれば、テレビ電話会議システムによる株主総会は増えていくと思います。

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