• 法律
  • Vol.15

社外取締役の義務化について(会社法改正)

最近、元女性アナウンサーが大企業の社外取締役に就任する例が増えていることがニュースでも報道されていました。会社の広告塔としての期待がされているとの指摘もありますが、昨年12月に成立し公布された会社法の改正により、社外取締役を置くことが義務化されたこととの関係も伺われます(公布後1年6ヵ月以内の施行)。今回は会社法改正による社外取締役の設置の義務化とその役割について簡単にご説明いたします。

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1. 社外取締役を置く理由

「社外取締役」とは会社法2条15号に明記された要件を満たす会社の取締役をいいます。就任前10年間に当該会社(子会社も含む)の業務執行取締役であったことがないことや、当該会社の取締役の配偶者または二親等以内の親族でないこと等が要件となっています。今回、会社法372条の2が改正され、いわゆる上場会社において社外取締役を置くことが義務化されました。

社外取締役を置く趣旨は、会社の外部の者が取締役会に入ることで、会社経営におけるコーポレートガバナンスを徹底させることにあります。従前より、旧会社法372条の2では、いわゆる上場会社については、社外取締役を置いていない場合、定時株主総会で説明する必要がありました。そのため、実際にはほとんどの上場企業ではすでに社外取締役が置かれているため、今回の改正の影響は限定的と言われています。

2. 社外取締役の役割

社外取締役としてふさわしい人材を育成するために、日弁連は2013年より「社外取締役ガイドライン」を作成し、漸次改定を行ってきました。ガイドラインは弁護士だけを対象とするのではなく、社外取締役となる全ての者に必要な資質から独立性・専門性についての心構え、会社に対する善管注意義務の内容等が整理されています。

社外取締役にはその知見を活かし、企業の「攻めのガバナンス」(健全なリスクテイク)と「守りのガバナンス」(内部統制による不祥事の防止等)をいかにコントロールして行くかが期待されています。
また、社外取締役は上記のような役割を期待された存在のため、業務執行権は存在しませんでしたが、今回の改正により、取締役と会社の利益が相反する場合に取締役会の決議等により社外取締役に業務執行を委託することができるようになりました(新会社法348条の2)。今後、社外取締役の活躍する範囲が拡大することが予想されます。

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