• 法律
  • Vol.13

会社法の改正について(その2)

前回に引き続き、今回も会社法の改正点について説明します。今回は、改正の3本柱である①取締役等に関する規律の見直し、②社債の管理等に関する規律の見直し、③株主総会に関する規律の見直しのうち、②についてです。

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1. 社債の管理等に関する見直し

社債の管理について、従前から「社債管理者」の制度がありました。
社債管理者は、社債権者のために、弁済の受領・債権の保全、その他の社債の管理を行う者のことです。社債発行会社は、少人数私募債など例外を除いて、社債を発行するに当たって社債管理者の設置が義務付けられていました。

社債管理者は、権限が広く、責任が重いため、なり手の確保が難しく、利用コストが高くなるという問題がありました。また、少人数私募債など社債管理者を設置していなかった社債が債務不履行となった場合に、社債権者に混乱等が発生したことがありました。

そのため、改正法では、社債管理者ほどの重い義務までは負わないようにしつつ、社債に関する最低限の事務業務を行うための「社債管理補助者」を新たに設けました。社債管理補助者は、社債権者が自ら社債を管理することができる場合に限り設置することができますが、社債管理補助者を設置することにより、社債の管理は社債権者が行いつつ、倒産手続における債権の届出や情報伝達など社債の管理の補助を委託することができるようになりました。

社債権者は、銀行、信託銀行または担保付社債信託法上の免許を受けた会社がなり手となっていましたが、社債管理補助者の場合、就任資格が「その他法務省令で定めた者」と社債管理者よりも広がりましたので、銀行や信託銀行などに加えて、弁護士や弁護士法人が新たな担い手となることが想定されています。

2. 株式交付制度の創設

最近までM&Aの件数は増加傾向にあり、株式会社が他の株式会社を様々な方法で子会社化しています。会社法でも、いくつかの方法が規定されていますが、そのうち、子会社の株式を自社の株式で取得する方法として「株式交換」が規定されていました。
しかし、株式交換は、他の株式会社を完全子会社としない場合には利用できませんでした。また、自社の新株発行等と他の会社の株式の現物出資という構成を採る場合、手続が複雑でコストがかかるという弊害がありました。

そのため、今回の改正では、「株式交付制度」が新設され、完全子会社とすることを予定していない場合であっても、株式会社が他の株式会社を子会社とするため、自社の株式を他の株式会社の株主に交付することができるようになりました。株式交付子会社の株主は、株式交付親会社の求めに対し、任意の判断で譲渡することができ、株式交付親会社は、譲渡に応じた株式交付子会社の株主に対し、株式以外に金銭等も交付することができます。

手続面では、株主交付制度を採るに当たり、株式交付親会社は、株主交換と同様、株主総会決議や債権者意義手続等を採る必要があります。

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