- 登記
- Vol.13
会社の役員の任期について
役員の任期について、依頼者及び他士業の方から質問を受けることが多々あります。また、数年以上前に役員の任期が満了していているにもかかわらず、役員再任の登記がなされていない登記懈怠事案もよく見かけます。役員の任期について正しい理解をする必要がありますので、一般的な取締役と監査役について説明します。
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1. 役員の任期に関する規定
まず、有限会社の役員には任期に関する規定がありませんので、有限会社の方はご安心ください。
これに対し、株式会社の役員の任期については、会社法に規定があります。取締役の任期は、原則として、「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」とされています(会社法第332条第1項)。ただし、定款によって任期を短縮したり、一定の要件の下で10年まで伸長したりすることができます(第1項但書、第2項)。
一方、監査役の任期は、一定の要件の下で任期を伸長できることは取締役と同様ですが、原則として任期は4年とされており、定款によっても任期を短縮することはできません(会社法第336条)。監査役は、会社の業務を監視する立場にあり、任期が長めになっております。
2. 任期の計算方法
任期を計算する上で問題となるのは、上記の条文の言い回しです。①「選任後2年以内に終了する事業年度のうち、」②「最終のものに関する」③「定時株主総会の終結の時まで」と3つに分けるとわかりやすいです。
例えば、事業年度が4月1日から3月31日までの会社について、平成28年6月20日に就任した取締役の場合で考えましょう。
まず、①ですが、平成28年6月20日から2年以内に終了する事業年度は、平成28年4月からの事業年度と、平成29年4月からの事業年度です。
そこで、②ですが、その事業年度のうち最終のものは平成29年4月からの事業年度となります。
最後に、③ですが、その事業年度に関する定時株主総会の終結の時までなので、その定時株主総会が平成30年6月30日に開催された場合には、その終結のときまでが任期となります。
よって、上記例の取締役の任期は、平成28年6月20日から平成30年6月30日までだったということなります。単純にちょうど2年とはならないので、注意が必要です。
3. 登記懈怠に注意
仮に登記を懈怠してしまった場合、代表者個人が登記懈怠の過料を科せられます。登記懈怠の期間にもよりますが、数万円の過料が科せられると聞きます。役員の再任登記は最も登記懈怠が多い事案と考えられますので、特に自社の役員の任期については注意を払う必要があります。
役員の任期は、通常は定款に記載されておりますので、お持ちの定款をご確認いただければ、自社の役員の任期が何年なのかわかると思います。あわせて、自社の登記簿謄本をご確認いただければ、役員が最後に選任された日付がわかりますので、上記事例を参考に、自社の役員の任期がいつ満了するのかを確認していただくことをお勧めいたします。
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