- 登記
- Vol.11
戸籍謄本について
相続による所有権移転や登記名義人氏名変更等の登記手続きにおいて、登記原因を証明する書類として、戸籍謄本を添付することは多々あります。
また、本人の存在の確認と証明、親族関係の確認と証明のために、戸籍謄本を集めなければならないこともあります。
戸籍謄本を収集する際に、どのような戸籍が何通ほど出てくる可能性があるかという判断の参考に、戸籍謄本の種類についてまとめます。
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1. 戸籍謄本の種類
市町村役場では一般に、戸籍全部事項証明書(現在戸籍謄本)、除籍謄本、改製原戸籍謄本の3種類の戸籍謄本を発行しています。
I.戸籍全部事項証明書(現在戸籍謄本)
平成6年の戸籍法の改正により、戸籍事務はコンピュータによって処理することが可能となりました。現在ではほぼ100%の市区町村において戸籍のコンピュータ化(電子化)が完了しており、現在進行形の戸籍は、横書きの「戸籍全部事項証明書」の形で発行されます。本人の存在の証明のための戸籍謄本であり、現在生きている方の戸籍を取得しようとすると、この戸籍謄本が発行されます。
II.除籍謄本
死亡や婚姻、分籍等により戸籍から除かれていった結果、全ての人がいなくなり、その時点で閉鎖され戸籍謄本とは別に保管されるようになったものを「除籍謄本」と呼びます。親族関係の確認と証明等のために、過去の戸籍を遡って見ていく必要性がある場合に、この除籍謄本が複数出てくる可能性があります。コンピュータ化(電子化)後に除籍簿化したかどうかで、横書きの全部事項証明書の形、もしくは縦書きの紙の戸籍の形で出てくるかが変わります。
III.改製原戸籍謄本
法改正により、戸籍が新基準のものに作り替えられることがあります。新戸籍に作り替えられる前の、元の戸籍謄本のことを「改製原戸籍謄本」と呼びます。除籍謄本と同様に、過去の戸籍を遡って見ていく必要性がある場合に、複数出てくる可能性があります。
2. 戸籍に関する法改正
戸籍改製に関連する、以下の二つの法改正については、戸籍の収集をする際に文言等を目にする機会も多いと思います。知っておくとわかりやすい部分もあるので、解説します。
①戸籍編成のコンピュータ化(電子化)
それまでの縦書きの紙の戸籍から、コンピュータ化(電子化)された、横書きの戸籍全部事項証明書へと改製されました。従前の戸籍は「平成6年法務省令第51条附則第2条第1項による改製につき平成○○年○○月○○日消除」と記載される、改製原戸籍となります。
②「新戸籍法」施行による戦後の新戸籍化
戦前の、戸主を中心とする家単位の登録から、夫婦及び氏を同じくする子を一つの戸籍として編成するものに変わりました。戸籍の書き換えには相当の時間と労力がかかるため、「新戸籍法」は昭和23年1月1日に施行されましたが、改製作業は昭和32年に法務省令第27号によって始まりました。従前の戸籍は「昭和32年法務省令第27号により昭和○○年○○月○○日あらたに戸籍を編製したため本戸籍消除」などと記載される、改製原戸籍となります。
この二つの改製以前にも、戸籍の改製は何度か行われており、より古い改製原戸籍が発行される場合もあります。
戸籍の収集は、場合によっては非常に労力がかかることがあります。戸籍の収集についてお困りの際は、是非当方にご相談ください。
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