• 登記
  • Vol.10

所有不動産の住所変更登記について

不動産を所有している方から、「この度、住所を変更したのだが、所有不動産の登記簿の住所変更は急いでしなければならないのか、どのタイミングですると良いのか」という相談を受けることがあります。今回は、所有不動産の住所変更登記について解説します。

関連法人:NTS総合司法書士法人

「住所変更登記をいつまでにしなければならない」という制限は不動産登記に関してはありません。しかし、後続する登記手続きのための前提として、住所変更手続きが要求されることになります。現在の新しい住所を登記申請人住所として記載して、後続の登記手続きを申請していくのですが、その際に登記簿上の「所有権登記名義人」として登記されている住所と申請人の現住所が一致しなければ後続の登記手続きが却下されてしまうので、住所変更登記を先に申請する必要があるのです。

実務上は、以下のいずれかのタイミングに合わせて住所変更登記を受任することが非常に多いです。

①不動産を売買・贈与等で譲渡するとき
②融資を受けて不動産を担保提供し「(根)抵当権」を設定するとき
③住宅ローン等の融資金を完済後に不動産に設定されている「(根)抵当権」を抹消するとき

特別に不利益がないのであれば、この①~③の3つのいずれかのタイミングを待って住所変更登記をすれば良いのではないかとも思われます。ただし、あまりにも長期間、住所変更登記をせずに放置していると、将来手続きが大変になり、費用と手間が余計にかかることがあります。

住所変更登記を申請するにあたり、公的書類によって登記簿上の住所から現在の新しい住所への変遷(つながり)を証明する必要があります。「戸籍の附票」が最も変遷を証明しやすくわかりやすいものではありますが、公的書類の代表的なものである「住民票の除票(以前住民票があり、転出または死亡したという証明)」や「改正原戸籍(戸籍の様式が変わった場合等の古い戸籍)の附票」には保存期間があり、5年を経過すると取得できなくなってしまいます。

住所の変遷を完全には証明できない場合には、添付できるだけの公的書類を添付したうえで、実印を押印して印鑑証明書を添付した「上申書」・「権利証の写し」・「納税通知書」・「不在住・不在籍証明書」等の書類を、法務局に確認のうえ添付して申請……と、登記手続きに相当の手間がかかってしまうのです。

何度か住所を変更している場合には、住所の変遷を将来証明できなくなる恐れが高いため、特に要注意です。
よって、住所を変更した際には、急ぐ必要はありませんが、5~10年以内くらいを目途に所有不動産の住所変更登記をしておいた方が無難といえるのではないでしょうか。
不動産の住所変更登記については、行政区画変更や住居表示実施が絡んだ場合の論点もあり、専門的知識が必要になることもあります。少しでも疑問があるときは、是非、当方にご相談ください。

  • Contact us  

すべての皆様との双方向の「ありがとう」に向けて

あらゆる相談にワンストップで対応

法律、税務・会計、労務など、分野の垣根を越えた幅広いニーズに対応し、企業や個人を取り巻くあらゆる問題についてワンストップで対応したいと考えております。

関連情報