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  • Vol.7

法定利率の変更について

預金の利率は、景気の変動によって上下しますが、法定利率は、これまで変動することはありませんでした。しかし、この法定利率も、民法の改正により大きく変更されることになりました。

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1. 法定利率の変更

利率には、「法定利率」と「約定利率」があります。前者は、契約時に当事者間で金利(約定利率)を定めなかったときに適用される法定の利率をいい、後者は、当事者間の合意によって決められた利率をいいます。法定利率とは、改正前は、原則として年5%とされ、商行為によって生じた債務は年6%(商事法定利率)とされていました。しかし、改正後は、改正法施行時の法定利率を年3%とし、3年ごとに見直しを行う変動利率を採用するとともに、商事法定利率が廃止されることとなりました。

法定利率は、3年を一期として3年ごとに変動するものとし、各期の法定利率は、「法定率に変動のあった期のうち直近の期の基準割合と当期の基準割合の差に相当する割合を直近の変動期における法定利率に加算・減算した割合」とされます。基準割合は、法務省令で定めるところにより、「各期の初日の属する年の6年前の1月から前々年の12月までの5年間の各月において銀行が新たに行った貸付期間1年未満の貸付けにかかる利率の平均の合計を60で除して計算した割合から、0.1%未満の端数を切り捨てたもの」として法務大臣が告示するものをいいます。

例えば、改正法施行時の基準割合が2%で、それが継続して当期の基準割合が3%であった場合、法定利率は、3%(当期の基準割合)−2%(直近の法定利率の変動があったときの基準割合)+3%(直近変動期における法定利率)=4%となります。

2. その他の注意点

施行日前に利息が生じた場合は、改正前の法定利息のままとされます。改正後は、債務不履行時の損害賠償額を算定するために用いられる法定利率について「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点」における法定利率になります。

金銭債務の不履行による損害賠償額は、改正後も約定利率が法定利率を超えるときは約定利率により、それ以外の場合は法定利率により定まるとされていますが、今回の改正により法定利率が変動するため、上述のとおり「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点」における法定利率となります。そのため、契約書を作成するときは、損害賠償の予定(約定利率の合意)をしておくことが望ましいです。

また、判例により確立された後遺障害による逸失利益の損害額の算定をするに当たっての、中間利息の控除(損害賠償額算定の基準時から将来利益を得られたであろう時までの利息相当額を控除すること)が法定されました。中間利息の控除に当たっては、上述のとおり、その損賠償請求権が生じた時点における法定利率により控除すると定められました。

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