- 法律
- Vol.6
民法改訂:『定型約款』の新設
電気やガス、携帯電話など、様々な取引の場面で約款が利用されていますが、これまでは民法に全く規定がありませんでした。今回の民法改正で、「定型約款」の条文が新設されることになり、一定のルールが定められました。
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1. 定型約款の定義
「定型約款」とは、社会に存在する約款一般を意味するものではありません。所定の要件(①定型取引に用いられるものであること、②契約の内容とすることを目的として準備されたものであること、及び③当該定型取引の当事者の一方により準備されたものであること)の全てを満たす場合に限り、その条項の総体が定型約款に当たるとされます。定型取引とは、①特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であること、及び②取引の内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものであることいずれも満たす取引をいいます。
2. みなし合意
定型約款に当たる場合に、所定の要件(①定型取引を行うことの合意をした者が定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたこと、及び②定型約款を準備した者(定型約款準備者)が予めその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたこと)を満たす場合、原則として個別条項について当事者間の合意があったとみなされます。しかし、相手方の権利を制限し、または相手方の義務を加重する条項であって、当該定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては例外的に合意をしなかったものとみなされます。
3. 内容の表示
定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合に限り、約款内容の開示義務が課されています。開示は、定型約款の拘束力を認めるための要件とはされておらず、開示義務があるのも一定期間内に相手方からの請求があった場合に限られている点に特徴があります。
4. 定型約款の変更
所定の要件(①相手方の一般の利益に適合する場合、または、②定型約款の変更が契約をした目的に反せず、かつ、合理的なものである場合)を満たせば、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項についても合意をしたものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができるとされています。
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