- 登記
- Vol.7
自筆証書遺言に関する法律改正
自筆証書遺言とは、ご存知の通り、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印した遺言をいいます。
自筆証書遺言のメリットとしては、自分だけで遺言が作成できるので公正証書遺言とは異なり費用が掛からないこと、好きなタイミングで気軽に作成できることが挙げられます。
しかし、デメリットとしては、①全部自分で書かなくてはいけない上に、要件が厳格であることから、書き方を間違ってしまうと無効なものとなってしまう、②自分で保管することが多いので、紛失してしまうことや相続人に発見されないことがある、③遺言者が亡くなった後に、家庭裁判所で検認という手続を経る必要があり、相続人にとって労力が多いということが挙げられます。
このような自筆証書遺言のデメリットを解消すべく、以下のような法律改正がなされました(なお、施行されるのはもう少し先になります)。
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1. 自筆証書遺言の方式の緩和
自筆証書遺言に、パソコン等で作成された財産目録を添付したり、銀行預金通帳のコピーや不動産の登記簿謄本を添付して遺言を作成できるようになりました。
従来では、上記①のとおり、財産目録部分も含め全部を自分で書かなければいけなかったため遺言者には相当な負担となっていたのですが、この法律改正により、負担が減るとともに、書き方を間違うリスクがだいぶ軽減されると思われます。また、財産目録には署名押印をしなければならないものとされており、偽造されないようにしています。
2. 法務局における遺言書の保管
法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局において自筆証書遺言にかかる遺言書を保管する制度があらたに創設されました。
具体的な手続きですが、遺言書の保管の申請は,遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局に対して行います。遺言者本人が遺言書を持って自ら法務局に出向いて、本人確認をうける必要があります。
保管申請された遺言書は、原本が保管されるとともに、現在の登記簿謄本のようにデジタル情報としても保存されます。そして、遺言者が死亡した後に、相続人らが遺言書の保管の有無を確認すること、遺言書の画像情報等を用いた証明書の交付をうけること、遺言書原本の閲覧を請求することができます。
この制度により、遺言書を紛失してしまうという弊害が生じなくなりますし、また、家庭裁判所での検認手続が不要とされている点で、相続人の負担軽減にもなります。遺言書の紛失や隠匿が防止されるので相続手続が円滑化されるものと思われます。
法務局による遺言書保管制度の概要

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