- 登記
- Vol.6
株式会社と合同会社の違いについて
最近、合同会社を設立したいという依頼をよくいただきます。合同会社は、2006年の新会社法施行により新たに導入された会社形態で、有限責任社員のみからなる持分会社です。株式会社についてはよく耳にすると思いますが、合同会社についてはまだまだ浸透してはいないと思います。依頼者からは、会社設立の際に、両者のどちらを設立したほうが良いかをよく質問されます。そこで、両者の違いをまとめていきます。
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1. 設立・運営コスト
株式会社を設立しようとする場合、公証役場で定款を認証してもらうことが必要です。その費用は、電子申請で定款認証をする場合でも約5万円かかります。また、設立登記の登録免許税が最低15万円かかります。そのため、株式会社設立費用は、最低でも20万円は必要となります。
これに対し、合同会社を設立しようとする場合、公証役場で定款を認証してもらう必要はありません。また、設立登記の登録免許税が6万円となっており、株式会社の設立登記よりも安くなっております。さらに、合同会社の場合、株式会社と異なり決算公告の義務がなく、役員の任期がないことから任期満了による役員変更登記が不要であるなど、様々なコストを抑えることができます。
2. 機関設計
株式会社は、出資者が株主となり、株主総会決議により経営者たる取締役を選びます。つまり、出資者と経営者が分離しています。株主が取締役になる必要はありません。そのため、株式会社の機関として、最低限株主総会や取締役の設置が必要であり、会社法の規定に従った運営が行われなければなりません。
これに対して、合同会社は基本的に出資者が経営者となるため、出資者と経営者が分離しておりません。出資者が自分の判断で会社の業務執行を行うことから、迅速な意思決定、業務執行が可能となります。
3. 社会的信用性
株式会社は、昔から存在する会社形態であり、誰もが聞いたことがあると思います。また、上場ができることも社会的な信用性が高い一つの要因と考えられます。
これに対し、合同会社は会社法で規定されてから10年程度しか経過しておらず、まだまだ一般に浸透してはいない会社形態です。株式会社と比べると社会的信用性が低いと言われております。金融機関の口座開設や融資を受けることが株式会社に比べると難しくなる可能性はあります。
株式会社 | 合同会社 | |
設立費用 | 最低20万円 | 6万円 |
決算公告義務 | あり | なし |
役員の任期 | あり | なし |
出資者と 経営者 |
分離 | 一致 |
機関設計 | 会社法による 制限あり |
自由度が高い |
社会的信用性 | 一般的 | 株式会社よりは 劣る |
代表者の呼称 | 代表取締役 | 代表社員 |
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