• 法律
  • Vol.2

弁護士会照会のご紹介

弁護士は、弁護士法第23条の2に基づき、依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査することができます。これが、弁護士会照会(23条照会)と呼ばれる制度です。今回は、意外と知られていないこの制度についてご紹介します。

関連法人:NTS総合弁護士法人

1. 簡単に言うとどのような制度?

簡単に言えば、弁護士が所属弁護士会を通じて、官公庁や企業、その他の団体に対して必要事項を照会できるという制度です。

2. 具体例

例えば、以下のような使い方ができます。

裁判に勝ってお金を差し押さえたいけれども、相手方がどこに預金をもっているかわからない → 銀行に対して、「●●さんの預金はどの支店にいくらありますか」と照会することができる。(ただし、判決などの「債務名義」と呼ばれる書面が必要)

配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したいものの、相手方の携帯番号しか分からない → 携帯電話会社に対して、「この携帯番号の契約者・使用者の住所・氏名を教えてください」と照会することができる。

交通事故の加害者を車両から特定したいものの、自動車登録番号標(ナンバープレート)しか目撃しておらず、車台番号が分からない → 運輸支局長に対して、「自動車登録番号だけで自動車登録事項証明書の写しをください」と照会することができる。

3. 強制力はない

弁護士会に警察のような捜査権限があるわけではないので、強制力はありません。
そのため、照会が拒否されるケースも稀ではなく、これまで、照会を求める弁護士会と、照会を拒否する団体との間で、たびたび激しい紛争(訴訟含む)が勃発してきました。

4. 報告義務はある

しかし、昨年、最高裁が「23条照会を受けた公務所又は公私の団体は、正当な理由がない限り、照会された事項について報告をすべきものと解される」(最判平成28年10月18日)と判示したことで、照会を受けた団体は正当な理由のない限り回答しなければならない、という社会通念が形成されつつあります。

5. 金融機関の動向

これを受けて、これまで頑強に照会を拒否してきた某銀行を含め、メガバンクは預金照会に全面協力する方向に転じています。東京弁護士会は、昨年に三井住友銀行と、今年になってみずほ銀行と、預金照会に関する協定を結びました。これにより、東京弁護士会の所属弁護士は、ゆうちょ銀行とメガバンク3社について、ある債務者がどの支店にいくら預金を有しているかを調べることができるようになりました。
地方銀行や信用金庫なども、この流れに追随することが予想され、今後、債権者が23条照会を活用する機会は増えてくるものと思われます。

  • Contact us  

すべての皆様との双方向の「ありがとう」に向けて

あらゆる相談にワンストップで対応

法律、税務・会計、労務など、分野の垣根を越えた幅広いニーズに対応し、企業や個人を取り巻くあらゆる問題についてワンストップで対応したいと考えております。

関連情報